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弁護士に一番必要なこと 目先の結果でなく長い目で見た人生の勝利者に
勝ち負けでなく依頼者が納得できる解決方法を導きたい
岐阜県弁護士会冊子より転載
子育てをしながら、司法試験の勉強をされたと伺いました。
 
 ええ。それまでは、3人の子どもを持つごく普通の主婦だったんです。それがある憲法の本を読んで、その仕組みやあり方に感動して。民主主義の一員として自分に何ができるのか、また何をすべきかを、子どもたちに教えられるようになりたいと思ったんです。だから、通信教育で法律について勉強を始めました。その後、地域の社会運動に加わったんですが、一介の主婦の話にはなかなか耳を傾けてもらえなくて。そうしたむなしさをバネにして、33歳の時に弁護士を志し、合格するまでに10年かかりました。
 
 
主婦業と勉強の両立は大変だったのではないですか?
 
 もちろん大変でした。私は弁護士の勉強をする前に主婦ですから、家事を放棄するわけにはいきませんでしたし。でも考え方を切り替えて、料理や掃除が気分転換になってラッキー!と思って、限られた時間で効率よく勉強できたと思いますよ。
 
 
ところで先生は、目先の結果ではなく、長い目で見た人生の勝利者になることを大切にしているそうですが。
 
 問題の解決は、裁判での勝ち負けがすべてではないんです。例えば隣の家との境界線を争う裁判などは、お互いが納得できる判決でなければ、結果としてしこりが残って子々孫々までいざこざが続くことになりかねません。私は、裁判で負けてても人生に勝つことがあると思います。裁判は仲良く暮らすためのきっかけであるべき。特に最近は、裁判に勝てばいいという考えの人が増えているけれど、私は違うと思います。人生の勝者になるためには、時には裁判上の譲歩も必要。逆に相手が理不尽なことを言っているなら、相手のためにも勝たなくてはいけないと思います。双方ともその後の人生を前向きに生きていくことが大切ですからね。
 
 
時間がかかる作業ですね。
 
 ええ。そういった意味で心配なのは、裁判をもっとスピードアップしようという動きがあること。事件を早く片づけることだけにとらわれて、心のケアがおぎなりにならないかととても心配です。問題の答えは人から貰うものではなく、自分で作り出すもの。弁護士はそのお手伝いはできますが、最終的には本人が納得した上で答えを出さなくては。そのプロセスがスピード化によっていい加減になるのは、恐いことですよね。
 
 
弁護士をしていて良かったと思うことは何ですか?
 
 よく思うのは、心のモヤモヤは体の病気に対する不安と同じだということ。つらいので誰かに支えて欲しいと思うのが普通です。私がその支えになれて事件が解決し、「前向きに頑張っていけるようになった」と本人が言ってくれた時には、本当に嬉しいですよね。